49歳〜健やかにながいき
本人の生活が豊に、そしてぜいた
くになるにつれて、病気の構造も変
化しており、死因の3位までをガン、心臓
病、脳血管疾患が占めています。
 ぜいたく病の代表である糖尿病は、血管
をもろくし、脳出血、心筋梗塞、賢不全な
どを起こす原因にもなります。また痛風は、
足の親指などが痛いという症状よりも、む
しろ脳血管障害、虚血性心疾患、賢不全に
結びつくことの方が恐ろしいといえます。
肥満もいまでは立派な病気とされています
が、これもまた心臓や血管に悪影響を及ぼ
すマイナス因子にほかなりません。いずれ
も不摂生に起因し、治療を進めにくいとい
うことが、これらの症状に共通の特徴です。
 鍼治療は糖尿病にも有効です。成人にな
ってから発症する非インシュリン型糖尿病
患者に鍼治療をすると、インシュリンホルモ
ンの分泌が改善され、血糖値が下がります。
これは、鍼治療により膵臓のβ細胞が活性
化するためと考えられています。痛風に関
しても、鍼で発作を減少させることはよく
知られています。
 肥満に対しては「耳鍼」が有名です。こ
れは、耳にあるツボに鍼を刺して副交感神
経を抑制して、食欲をコントロールすると
いうものです。また、鍼には血中コレステ
ロールを減少させて血管内をきれいにし、
動脈硬化や肥満を予防する働きもあります。
 さらには、鍼には賢機能を活発にする作
用もあります。ナトリウムの排泄を促すプ
ロスタグランジンEという物質の生成能力
を高め、利尿を促すのです。利尿剤と違っ
て必要な水分を排泄させることはないので、
血液を異常に濃くすることも避けられます。
塩分摂取量の多い日本人の高血圧症には、
鍼は最適の治療法というわけです。
  黄帝内経には、「49歳になると、妊脈
は空虚となり、太衝の脈は衰え、天癸
は竭きて、月経が停止する。それ故身
体は老い衰えて、もう再び子を産めな
くなる」と書かれています。


生理学
 身体に無理がきかなくなり、月経も
止まり、いろいろ老いを自覚するように
なります。身体のあちらこちらの調子
が悪くなり、ガンや心筋梗塞、脳梗塞
といった成人病で命を落とす人も急増
します。
脳卒中予防のため開発
された動脈硬化ラット
コレステロールと東洋療法
  戦後、日本人の食生活は急激に変化し、高タンパク、高脂肪、
高カロリーという欧米型の食生活がすっかり定着しました。そ
ういうなかで、成人病の代名詞でもある動脈硬化が、最近は子
供たちの間にも急増しています。
 動脈硬化の最大原因がコレステロールであることはよく知ら
れています。コレステロールには悪玉コレステロール(LDL)
と善玉コレステロール(HDL)があり、とくに悪玉コレステロ
ールが多いと血管 が詰まりやすくなり、動脈硬化をもたらすの
です。一方、善玉コレステロールには悪玉コレステロールを除
去する働きがあり、血管や組織の内部を正常に保つとともに、
脳や神経をつくる材料ともなるわけで、生体にとって不可欠な
物質ということができます。
 そこで、血液中の総コレステロール量を減少させ、善玉コレ
ステロールを増加させる働きがある鍼治療が有効になるのです。