28〜35歳
性の社会進出が進み、結婚、あるいは 出産後も仕事を続ける女性が増えて
います。体力が衰えたと感じはじめる時期
でもあり、若い頃にはなかった肩こりや腰痛
に悩まされる人が多いのも特徴の一つです。
 肩こりの原因はいくつかあり、ときには
肝臓や胃腸などの内臓疾患から起こること
もありますが、多くの場合はストレス、眼
の疲れ、同じ姿勢による長時間の作業が原
因となっています。この三大原因がすべて
そろっているのが、ワープロ、コンピュータ
などVDT(Visual Digital Terminal)を扱う
デスクワークです。
 肩こりを予防するには、椅子やキーボー
ドの高さ、ディスプレイの位置を調整して
無理のない姿勢を保てるようにし、ときど
き首を回したり肩の上げ下げをするなど、
筋肉の緊張をほぐすとよいでしょう。また、
首の後ろ側にある天柱や風池、肩井などの
ツボを覚え、刺激すると一層効果的です。
 VDT症候群の特徴は、肩や首のこりと
眼の疲れですが、この他にもめまい、吐き気、
耳鳴り、頭痛、いらいら、根気が続かないなど
の自律神経の不調や、手のしびれ、痛み、感
覚麻痺、冷え性などの末梢神経の症状、生理
不順や不妊症など婦人科疾患など、さまざ
まな症状が現れます。これらの症状を一つ
ひとつ治療するのはたいへんなことですが、
全身の機能を整える鍼灸なら、少ないツボで
複数の症状を緩和・解消することが可能です。
 鍼は痛そうだとか、お灸は熱そうだとい
う不安を抱く人もいますが、鍼灸には意外
なほど多くの種類があり、ここちよい治療
法も数多くあります。たとえば、眼の疲れ
には「くるみ灸」という治療法があります。
これは、菊花を入れた水に漬けておいたく
るみの殻を瞼にかぶせ、その上にもぐさを
のせて行うお灸で、適度な温かさを感じな
がらリラックスでき、施術後は眼の疲れが
とれ、すっきりします。
  黄帝内経には、「28歳になると筋骨は
しっかりして、毛髪の伸びも極まり、こ
の時期は身体が最も強壮である」と書
かれています。


生理学
 この時期は育児や家事、仕事などで
身体を酷使することが多く、ストレス
を最も受けやすい。女性が生涯でもっ
とも忙しい時期だといえるでしょう。
サーモグラフィーで体温
の変化を測定
微小循環と東洋療法
 「足が冷えて眠れない」というのは冷え性の人に共通の悩みで
すが、これは足の血行が悪いためです。というのも、私たちの
身体の熱は血液によって全身に運ばれているのです。
 鍼を行うと、ちょうどお風呂に入って身体がポカポカするの
と同じような感じがするのですが、これは全身の血行(微小循環)
がよくなるためです。温度の違いを色で示す赤外線サーモグラ
フィーで、鍼を行う前と後の体温分布を見ると、施術後に全身が
温まり血行がよくなっことが一目でわかります。
 たとえば、手の親指と人差し指の間にある「合谷」というツボ
に1本の細い鍼を刺すと、鍼の周辺だけでなく、指全体、腕、
肩、頸、顔と、全身が温かくなっていきます。しかも、不思議
なことに、鍼を刺していない側もほとんど同時に温かくなりま
す。血行がよくなれば、冷たくなった足の先まで血液がスムー
ズに運ばれ、つらい足の冷えも解消されるというわけです。