21〜28歳
の時期、多くの女性は結婚、出産を迎
えます。ふだん元気な人でも、妊娠
中は体調をこわすことが少なくありません。
 特に、薬や食品添加物、大気汚染などの
公害、運動不足などのせいで、妊娠初期に
流産を起こす女性が増えており、切迫流産
徴候症になりがちです。
 妊娠初期から中期にかけては、程度の差
はあるものの大抵の人は、つわりを経験し
ますが、その有効な治療法がないのが現状
です。つわりに伴い食欲不振、貧血、便秘、
頻尿などの症状が現れることもあります。
 中期から後期にかけては、体重増加に伴
う腰痛や身体のだるさ、下肢のけいれん、
動悸、めまい、胸やけ、静脈瘤、痔、不眠
といったさまざまな症状が現れ、後期には
逆子、尿蛋白などの問題が起こりがちです。
 妊婦への治療の特徴としてまずあげられ
るのが安全性の重視ですが、副作用のない
鍼灸はこれら諸症状に対しかなりの有効性、
有用性をもっています(子宮外妊娠を除く)。
また、妊産婦は新しい生命をつくる仕事を
しているせいか、新陳代謝が非常に活発で
あり、鍼灸に対しても感受性が強いので、
軽い治療ですみます。
 鍼灸は複数の愁訴に同時に対処できる上
に、愁訴が多いほど刺激する箇所が増えて、
刺激量が多くなるということもありません。
たとえば、三陰交という足のツボ(左右で
2ヶ所)だけでも、妊娠に伴うほとんどの愁
訴に対応することができます。小さな刺激
で大きな効果が得られるわけです。
 とくに症状がない場合でも、鍼灸を定期
的に行えば病気にかかりにくく、安産にな
るとともに、その鎮痛効果により、無痛分
娩にも鍼は広く応用されています。
 黄帝内経では、「21歳によると、腎気
が充満し、智歯が成長して、身体の丈
も伸びきる」と書かれているように、身
体が完全に成熟し、成長がとまります。


生理学
 卵巣や子宮など生殖器も発達し、妊
娠・出産をする女性が多いのがこの時
期の特徴です。
逆子の超音波診断
周産期と東洋療法
 最近、周産期医療としての逆子に対する鍼灸の有効性が注目
され、逆子の鍼灸治療を行う病院の外来は予約でいっぱいです。
逆子といえば帝王切開というように思われがちですが、鍼灸に
よってかなり回復する見込みがあるのです。妊娠27週〜28週の
逆子では、鍼灸治療で90%以上が回復できるという臨床結果が
報告されています。もちろん母体に対する副作用もなく、胎児
に対しても安全性が確認されています。
 妊婦なら誰しも正常分娩でわが子を出産したいと思うもので
すが、胎児にとっても、帝王切開は本来好ましくありません。
というのも、胎児が産道を通る過程で受ける刺激によって、抵
抗力がつくといわれているからです。
 帝王切開というのは最後の手段として考え、逆子だとわかっ
た時点で専門家の適切なアドバイスを受けることが必要です。