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供の病気にも古来から鍼灸治療が行
われてきました。とくに夜泣き・疳 |
の虫、夜尿症など、最新の医学でもこれと
いった治療法がないような乳幼児特有の症
状に対しては、鍼灸治療は効果的です。
しかも、鍼灸には副作用がありません。
薬物には多かれ少なかれ副作用があるもの
で、体内のある部分に有効な薬も、それが
他の部分にまで悪影響が生じるというので
あれば、身体にとってよいとはいえません。
たとえば、アトピーの子供が急増している
なか、この治療に用いる副賢皮質ホルモン
による副作用が大きな問題となっています
が、鍼灸にはそういう心配がいりません。
身体のどこか一部分の機能に異常が生じ
たとき、その悪い部分だけに働きかけるの
が薬であるのに対し、鍼灸治療では、全身
の機能を調整しながら、人間に生来備わっ
ている自然治癒能力を高め、異常を正常にし
ようと働きかけます。全身機能が回復すれ
ば、自然と病気も治るはずです。つまり、
鍼灸は病気を治すのではなく、病人を治し、
体質改善をするというわけです。だから、
西洋医学でも治療が難しいアレルギーやア
トピーにも効果があるのです。
「赤ちゃんに鍼を刺すのはかわいそう」と
思われる方も多いでしょうが、子供に用い
る鍼は、おとなのように皮膚に刺すもので
はなく、ヘラ状や突起状の独特の形をして
おり、それで軽く皮膚を摩擦したり接触さ
せるだけですから、注射のように赤ちゃん
や子供が痛がることはありません。新陳代
謝の激しい子供には、軽い刺激で十分なの
です。この刺激が自律神経を通って脊髄や
脳の中枢、さらには各臓器へと伝わり、内
臓の働きを活性化させ、抵抗力のある健康
な身体づくりを促進してくれます。そうい
うわけで、乳幼児にとって安全な鍼灸治療
は大変望ましいのです。 |
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現存する世界最古の医学書『黄帝内
経』には、「鍼法の運用に巧みな者は、病
が陽にあれば、陰よりこれを導き、病が
陰にあれば、陽からこれを導き、右側
に取って左側の病を治療し、左側に取
って右側の病を治療する。自分の正常
な状態によって病人の異常を比較し、
表面の病状から内面の病変を理解し、
さらに太過と不及とを判断すれば、病
いの初期の段階によく病邪の所在を知
ることができるので、この時点で治療
して、病が発展して危険な状態になら
ぬようにする」と記されています。
●生理学
乳幼児期は身体が著しく成長する時
期です。とくに乳児期には神経系が、
幼児期には運動機能や知的能力の発達
が急速に進みます。体重は生後3ヶ月
で出生時の2倍に、満1年で3倍にな
り、身長は1歳で1.5倍、5歳では2倍
に達します。生後6〜8ヶ月には乳歯
も生えはじめ、2〜3歳で生え揃います。 |
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