鍼灸やあん摩・指圧などの東洋療法は、経穴を中心に機械的な刺激を与えて生体の反応を引き起こす、つまり、経穴に鍼を刺入したり、皮膚上から押す、擦る、揉むなどの刺激を与えて生体の機能を調整するのがその本質です。従って、施術にあたる者は、安全かつ適切な施術を行うために身体各部の局所解剖についてよく理解しておく必要があるのは申し上げるまでもありません。
本書は、臨床の場で頻用される経穴について、WHOの標準的取穴法に基づいて部位を示し、1センチ×1センチの顕微鏡下局所解剖を行い、鍼の刺入深度に基づいた貴重な写真をもとに、その構造について分かりやすく解説しているのが特徴です。主要な経穴部位における局所解剖を立体的に把握することができる、これまでにない新しい切り口で丁寧に作られた画期的な書籍といえます。
本協会におきましては、東洋療法の卒前ならびに卒後教育における良質な教材として、本書をここに推薦するものであります。
東洋療法を学ぶ学生諸氏が、人体の経穴部位の構造について十分理解し、臨床の場において安全かつ適切な施術を行う能力を養うために本書を活用して頂くよう願うものであります。
2010年10月
社団法人東洋療法学校協会
会 長 杉 山 誠 一